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■『戦旗』1676号(3月20日)6面

  
 
佐賀空港軍事基地化阻止!
                       
九州山口地方委員会
       
 

 防衛省は今年七月九日までに佐賀空港―陸自駐屯地にオスプレイを移転させるとしている。長崎県相浦駐屯地の水陸起動団を輸送し戦争のための一大軍事基地にするオスプレイ配備を絶対に許すことはできない。空港に隣接する漁民の共有地を奪い、オスプレイ一七機と目達原駐屯地のヘリ五〇機も移転させる駐屯地建設―巨大軍事基地反対に住民とともに立ち上がろう。
 佐賀空港(佐賀市川副町)は、建設の条件として一九九〇年に『覚書付属文書十一』に「県は佐賀空港を自衛隊と共用する考えは持っていない」とする『佐賀空港建設に関する公害防止協定』を県と八つの漁業協同組合が締結した。「二度と戦争はしてはいけない」と戦争を体験してきた地権者の意思をこめた協定書を反故にして、二三年六月二二日に陸上自衛隊佐賀駐屯地の建設工事が着工された。当初から地盤改良造成工事のために早朝深夜にもダンプを運行させる突貫工事が行われた。九州防衛局は佐賀県内四つの地域からの土砂では足らず、隣接地の干拓地を「貯水用地」として掘り出した土砂を搬入するなどしてきた。二年近くの工事で現在、空港の管制塔をこえる高さの隊庁舎(八階建て)、格納庫などが立ち並ぶ。二五年度には駐機場や火薬庫などの整備を進める計画だ。

地元住民の闘い 建設工事差し止め訴訟

 駐屯地(共有地)の地権者である「オスプレイ反対住民の会」の古賀初次さんは、工事差止の仮処分申し立てと本訴、集会やデモ、スタンディングで闘ってきた。古賀さんたちの闘いを「オスプレイ裁判支援市民の会」をはじめとして佐賀県の住民や全国の人々が支援し、オスプレイの配備を止めるための行動が粘り強く闘われている。
 二四年三月二一日、佐賀地裁は、建設差し止め仮処分の申請を棄却した。差し止めを請求した地権者四人は駐屯地の所有権(共同持分権)を取得していることの疎明がされていない、またオスプレイが墜落事故をおこし地権者らの生命人体への具体的危険性は疎明されていないとの理由だった。持分証券の発行を受け、三〇年間以上にわたり所有者として扱われてきた事実を佐賀地裁は無視した。四月一日、原告は福岡高裁に即時抗告した。
 また三月一六日、地権者を原告とする駐屯地建設工事差し止め訴訟第一回裁判が行われた。意見陳述で古賀さんは、平和への思い、オスプレイ配備で攻撃の標的となり戦争に巻き込まれる人格権侵害を訴えた。先人から受け継いだ有明海を守りたいとも語った。
 六月一四日の第二回口頭弁論では駐屯地から流れ出るアルカリ性の排水による水質汚染の可能性がつきだされた。「排水対策の雨水一時貯留池の掘削工事で出る膨大な土砂は、すべて工事現場に運ばれ盛土に利用されている。一時貯水池予定地から掘り出された三六万立方メートルの土砂は、造成工事に使われた。この土砂は土壌改良が必要なため、一立方メートルあたり五〇キログラムの生石灰を混合させている。これは農地改良に使用される石灰の数倍の量だ。土砂から染み出した高濃度のアルカリ性の水が有明海に流入すれば、海水のpHが上昇し、ノリの生長を妨げる」。防衛省は「石灰成分が混じった排水を海水で希釈し、海に放出する」工事を追加したが、これで被害が防げるのかは疑わしい。
 有明海漁協と防衛省との土地売買契約に重大な瑕疵があることも、一二月六日の第四回口頭弁論で明らかにされた。「駐屯地の用地周辺は、国が主張するように一九八八年の農地売買が漁業補償であり、売買の当事者が旧南川副漁協であったとするならば、当時の農地法では農業生産法人以外による農地の取得が禁止されている。だから、一九八八年の売買は農地法の規制により法律上の効果を生じていないということになる。結果、旧南川副漁協は土地の所有権を持っていない」と。つまり共有地の所有権を持ってない後の有明海漁協から防衛省は取得できないというものだ。
 この訴訟に二四年七月以降オスプレイ配備や佐賀空港の軍事空港化は全国の課題だとして地権者以外の佐賀県内住民や九州―全国の市民二四五人が原告に加わった。
 また裁判闘争と一体の取り組みとして「非暴力的直接行動による工事阻止」を掲げた住民による「オスプレイストップ! 九条実施アクション佐賀」が、二四年一月から毎月一~二回駐屯地建設工事のゲート前座り込み行動を開始した。工事関連車両に呼びける早朝行動や地域周辺運動団体も参加する抗議行動・集会などがおこなわれている。

環境アセス逃れ、土地や土砂のタダ取り、水質汚染、情報隠し

 二五年七月に期限を区切られている防衛省―九州防衛局と佐賀県は、オスプレイ配備を進めるために住民無視の違法無法の限りを行っている。
 佐賀駐屯地は、三四ヘクタールの用地で建設されている駐屯地の完成後に稼働する一時貯水池建設も同時並行して進めている。貯水池建設と基地建設が一体の工事にもかかわらず、環境アセスメント逃れのために別工事だと詭弁を弄し続けている。しかも佐賀県は、空港と隣接する七ヘクタールの県有地を排水対策施設として貯水池の無償使用を許可し、土砂を無償で防衛省に提供した。貯水池と合わせれば環境アセスメントの対象になる三五ヘクタールをこえる広さにもかかわらず、それは行われなかった。防衛省は無償で提供された土地から大量の土砂を無料で搬出し、造成工事に使った。同年五月一〇日、「県有地使用料免除は違法だ」として市民原告訴訟が提起された。佐賀県民の財産である合計二二ヘクタールの土地と土砂を、防衛省は無料で使っている。減免総額は六四二〇万円に上る。
 二四年一一月、米大使を日米韓合同演習中の空母に運ぶため、米海軍オスプレイが福岡空港に午前午後飛来した。米軍岩国基地に配備される直前に福岡など九州北部上空を飛行した。これについて市民団体が佐賀県と防衛省九州防衛局との間でやり取りされたメールの開示請求を行った。これにより八四件、一〇〇ページ以上のメールや議事録などが一二月に開示された。これらのメールから、情報隠しが明らかになった。オスプレイが飛来した前日、九州防衛局は福岡県・福岡市に、報道機関などから問い合わせがあった場合には「回答を差し控えたい」と答えるよう要請していた。福岡市は「米軍関係の情報は話せないと判断した」として公表しておらず、危険なオスプレイの福岡空港の利用を容認した。

オスプレイ七月配備を阻止しよう!

 米軍オスプレイが二三年一一月屋久島沖で墜落事故をおこし、米兵八人が死亡した。陸自のオスプレイは二四年一〇月二七日に、与那国島で翼が地面に接触して損傷する事故をおこした。だが佐賀県は二五年二月七日、配備を止めるのではなく、オスプレイの離発着の計画を発表した。一日平均一六回、うち夜間が五回、年間二九〇日、夜間は七五日というものだ。また県は空港の滑走路を二五〇〇メートルに延長する計画をすでに進めており、軍事基地化を強めようとしている。
 オスプレイは、飛行再開と停止を繰り返している。陸自のオスプレイが与那国島での訓練中に事故をおこしたあと一一月一五日に飛行を再開した。一二月に米軍がオスプレイの運用を停止したことを受けて自衛隊も飛行を停止した。一二月二七日に飛行を再開した。二五年二月一九日から始まった日米共同訓練「アイアン・フィスト25」で、日米のオスプレイが佐世保市の陸自相浦駐屯地で使用された。事故原因とされるクラッチについて詳細はなんら公表されないまま、危険な飛行再開が繰り返されている。
 佐賀新聞社が昨年末に行った県民意識調査で、オスプレイの安全性について尋ねたところ「とても不安がある」「少し不安がある」と回答した人は合わせて84・6%に上った。佐賀駐屯地が立地する佐賀市では、「少し不安」が43・6%、「とても不安」が39・4%という結果だった(二〇二四年一二月)。
 防衛省は佐賀県民、市民の不安を無視して、今年七月までにオスプレイを佐賀駐屯地に配備すると表明した。だが事故多発により調達数が伸びないオスプレイの製造は、二〇二六年に終了することが決まっている。
 平和と環境、安全な生活と生業を守ろうと工事差し止め仮処分申し立て、訴訟、座り込みで闘う住民と連帯し、オスプレイ七月配備を阻止しよう。長射程ミサイル配備・弾薬庫建設などが進む琉球弧―九州における軍事基地化を許さず、住民とともに闘おう!

 


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